ウトロに流氷がやってきた

 ウトロにも今シーズン初の流氷がやってきました。車で移動中、海岸線が白く埋まっていると気分が高揚しますね。まだはぐれ氷のため大きなものはなく、昨日までは波も高かったこともあり、揉まれてかなり小さなサイズの氷になっています。入り江を埋め尽くすほどの量はなく、海岸線から沖合50m~100mくらいを覆っている状況です。そんな中、黒いものを見つけました。ゴマフアザラシです。こちらも今シーズン初遭遇。小さな氷の上で横になって昼寝をしたいのでしょうが、周囲が気になってキョロキョロ。最終的には周りに何もいなかったんですが、驚いた様子で海の中に消えていきました。この冬の流氷シーズン、どんな生き物たちに出会えるか楽しみになりますね。



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エゾモモンガづくし

 この冬は、たくさん観察できるでしょうか?ちょっと楽しみなエゾモモンガですが、今回、Eテレの『0655』と『2355』という5分間番組の新曲「冬毛の歌」にエゾモモンガの映像を提供しました。そこで、過去に撮影したモモンガのデータを未公開のものも含めて再編集してみたら10分ぐらいの動画になりました。長いですが、モモンガづくしの1本です。



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藤川

角かじるエゾシカ

 珍しい映像を佐々木が撮影してきてくれました。落角したシカの角をかじっている雌ジカの映像です。草以外のものを口にしているシカを観察するのは極めて稀なことで、私も15年ほどガイドをしていますが、数回しかみたことがありません。ましてや、はっきりと記録映像に残せたことも運がよかった。エゾシカは、基本的に草食の動物ですが、カルシウムを補うためでしょうか?自然死した動物の骨格や落角したシカの角を食べることがあります。味はともかく、彼らにとって必要と感じたから齧っているのでしょう。


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映像:佐々木 文:藤川

シロザケの遡上2020

 今年は、カラフトマスと比較するとシロザケの遡上数は少なく、サケ定置網漁も不漁のようです。冷たい水を好む魚なので、近年の海水温の上昇が餌資源に影響し、サケの個体数を減少させていると言われています。川面を黒く埋め尽くすほど遡上していたサケ、再び壮観な景観を見せてくれることを期待したいですね。


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藤川

知床オータムバスデイズとヒグマ

 近年、知床では国立公園内の道路沿線におけるヒグマとの至近距離での遭遇や写真撮影、それに伴う交通渋滞などが問題となっていました。昨日も道路脇にいたヒグマの親子に車両が近づきすぎて威嚇を受けるようすが見られました。こうした危険な状況を回避するために、2020年10月2日~4日まで、試験的に「知床オータムバスデイズ」と題してシャトルバスが運行されています。実際にシャトルバスからは、間近にヒグマを観察することができました。野生動物との遭遇は適度な距離が大切です。シャトルバス運行期間外に知床を訪れ、ヒグマと遭遇した時は、車両から降りないこと。大きな声でヒグマを刺激しないこと。その場からゆっくりと立ち去ることを守ってください。



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藤川

カラフトマスの遡上2020

 カラフトマスの遡上が見ごろを迎えています。昨年は、過去最少規模の回帰数で遡上している様子もなかなか見られませんでしたが、今年はここ数年で一番良い状態ではないでしょうか。川を黒く染める魚影は知床の豊かさの象徴です。来月にはシロザケの遡上がピークを迎えます。知床半島の河川では、ほとんどの川で遡上が見られます。お越しの際は、ぜひ川を覗いてみてください。



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藤川

川の中を覗くヒグマ

 河口部で1頭のヒグマの姿を見つけました。知床半島では、8月中旬からカラフトマスの遡上がはじまります。今年の遡上はまだ確認していませんが、サケの仲間が川を上ってくる時期が近いことをヒグマも知っています。このヒグマは、川の中を覗き込んだりして魚の姿を探しているように見えました。遡上してくるまで、あと少しですが、しばらく川の中とのにらめっこが続きそうです。


※この映像は、ヒグマとの距離が十分あり安全が確保された状態で撮影しています。

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藤川

2020年7月の羅臼湖

 7月に入って、あまり雨が降っていません。その影響か、羅臼湖登山道にある二の沼が干上がりかけていました。雪解け水や雨水が主な供給源で河川や地下水供給がないため降雨量が少ないと干上がってしまうことがあります。あと数日もつかどうかというところでしょうか?三の沼は地下水供給があるため水位が一定です。周辺の湿地ではモウセンゴケの花が見ごろを迎えていました。食虫植物であるモウセンゴケは葉がしゃもじ型をしていて粘液があります。その粘液で小さな昆虫を捕らえて消化していきます。よく探してみるとエゾルリイトトンボが身動きできなくなっていました。ハイマツ帯では、マツの実が豊作で、ギンザンマシコの姿を見ることができました。日本では、北海道の高山帯で観察できる野鳥です。なかなか遭遇しないレアな鳥なので、ラッキーでした。くちばしが丈夫なためマツの実の殻を剥いで中の種子を食べていました。



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藤川

食べ物を探すヒグマ

 海岸草原を歩いていると、単独のヒグマと遭遇しました。この時期、ヒグマはエゾノシシウドなどのセリ科草本を食べていることが多いですが、知床半島では、エゾシカの影響により海岸植生の多くが失われています。そのため、海岸草原ではアリの巣を掘り起こして食べるなど、植物以外の食べ物を探していることもあります。このヒグマは、草丈が高いため地面付近で何をしているのか詳細はわかりませんが、食べることのできる草本類やアリなどを探しているのではないでしょうか。知床国立公園には、フレペの滝遊歩道や知床五湖遊歩道があり、散策中にヒグマに遭遇することもあります。十分な距離を取り、大騒ぎをして相手を刺激することのないように、その場をゆっくりと離れましょう。

※撮影には超望遠レンズを使用しています。



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藤川

アカゲラの子育て

 今年は、アカゲラの営巣が多くの場所で確認できています。駐車場や道路脇、各遊歩道などで人目に付くところでも平気です。そんなアカゲラのご一家宅へお邪魔してきました。すでにヒナの鳴き声が巣穴から外に漏れているので、巣立ちも近いご一家でした。食べ盛りのヒナのために10~20分間隔で親鳥が餌を運んできます。運んでくるとヒナたちのテンションはMax。鳴き声が大きくなります。たくさん食べて早く外の世界へ旅立てるといいですね。



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藤川