知床オータムバスデイズとヒグマ

 近年、知床では国立公園内の道路沿線におけるヒグマとの至近距離での遭遇や写真撮影、それに伴う交通渋滞などが問題となっていました。昨日も道路脇にいたヒグマの親子に車両が近づきすぎて威嚇を受けるようすが見られました。こうした危険な状況を回避するために、2020年10月2日~4日まで、試験的に「知床オータムバスデイズ」と題してシャトルバスが運行されています。実際にシャトルバスからは、間近にヒグマを観察することができました。野生動物との遭遇は適度な距離が大切です。シャトルバス運行期間外に知床を訪れ、ヒグマと遭遇した時は、車両から降りないこと。大きな声でヒグマを刺激しないこと。その場からゆっくりと立ち去ることを守ってください。



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藤川

川の中を覗くヒグマ

 河口部で1頭のヒグマの姿を見つけました。知床半島では、8月中旬からカラフトマスの遡上がはじまります。今年の遡上はまだ確認していませんが、サケの仲間が川を上ってくる時期が近いことをヒグマも知っています。このヒグマは、川の中を覗き込んだりして魚の姿を探しているように見えました。遡上してくるまで、あと少しですが、しばらく川の中とのにらめっこが続きそうです。


※この映像は、ヒグマとの距離が十分あり安全が確保された状態で撮影しています。

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食べ物を探すヒグマ

 海岸草原を歩いていると、単独のヒグマと遭遇しました。この時期、ヒグマはエゾノシシウドなどのセリ科草本を食べていることが多いですが、知床半島では、エゾシカの影響により海岸植生の多くが失われています。そのため、海岸草原ではアリの巣を掘り起こして食べるなど、植物以外の食べ物を探していることもあります。このヒグマは、草丈が高いため地面付近で何をしているのか詳細はわかりませんが、食べることのできる草本類やアリなどを探しているのではないでしょうか。知床国立公園には、フレペの滝遊歩道や知床五湖遊歩道があり、散策中にヒグマに遭遇することもあります。十分な距離を取り、大騒ぎをして相手を刺激することのないように、その場をゆっくりと離れましょう。

※撮影には超望遠レンズを使用しています。



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覚醒

 今季、初のヒグマと遭遇しました。双眼鏡で確認すると何かを食べているようで、その場をじっと動くことはなく、首を上下に動かしているように見えていました。知床は、海岸線が断崖になっており、雪解けが一番早く訪れます。エゾシカやヒグマはそれをよく知っていて、いち早く出てくる草本を食べるのです。冬眠から目覚めたヒグマがこれから活発に活動します。遊歩道の散策などは十分な注意が必要です。



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